2009/06/20
ある日の午後、診療開始の一番で「体育の時間、サーキットトレーニングしていたら、
じんましんが出て顔まで腫れてきた」と、生徒と養護の先生が来院された。
偶然、数日前に医学書で読んだ「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」の患者と同じ状況。
一度も経験したことのない症例だったが、
とにかく急いでステロイドの点滴をして、それからゆっくり話を聞いた。
アレルギー体質だが食物アレルギーはこれまで起こしていないらしい。
「きょうの弁当は?何か変わった物を食べた?」と聞くと、
「赤飯にエビフライと鶏の空揚げと・・・」。豪華な弁当だと思ったら、誕生日だそうだ。
どうもエビがあやしい。お母さんが心配顔で来院されたころには、かゆみが幾分引いてきた。
食後すぐに運動すると、副交感神経の活動である「消化・吸収」から
「運動」という交感神経優位の状態に急に切り替わる。
すると、アレルギーの原因となるタンパク質が十分に分解されずに腸管から吸収され、
強いアレルギー反応が起きるのではないかと言われている。
小学生から高校生までの1万人に1人の割合というから、それほど稀ではない。
学校の先生方も知識として持っておかれたらよいだろう。
この生徒さんの場合、後日、エビが血液検査上陽性と判明し
「エビは食べない方がいいでしょう」とお話しした。