2010/08/25
当院では、糖尿病患者さんの誕生月に過去3年ほどの経過をまとめたグラフをお渡ししている。
体重の変化や血糖値、糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cを折れ線グラフにしたものだが、
肥満を伴う糖尿病患者さんは体重が増えるとA1cが高くなり、減ると低くなる。
体重と糖尿病の状態がきれいに相関、連動している。
ちなみに糖尿病の患者さんのコントロール目標はA1c6.5%未満である。
糖尿病は、自ら食事カロリーや運動などを意識した生活を送り続けることが必要な厄介な病気である。
良い状態を保っている患者さんでも我慢というストレスが継続的にかかっているし、
優等生だった患者さんがマンネリに陥って悪化することもある。
誕生月に渡すグラフが、患者さんの励みになったり、
「知らず知らずのうちにまた太りだしてきている」と
再認識してもらったりすることで、お役に立てばと思っている。
3年間で5kg以上減量し、
最初は8%近くだったA1cが6%以下の状態になって安定している患者さん。
グラフをお渡しする時に「何が一番効果があったんですか」と尋ねると
「会社の体育館のトレーニングマシンで600kcalの運動を
週3回やるようになったのが良かった」と答えられた。
器械に消費カロリーが表示されるので、目標が明確になり、
運動の習慣を持続することができたらしい。
患者さんの明快な答えに、その会社の健康管理の現場を見たくなり、
健康管理センターにアポを取って訪問した。
患者さんの名前は伏せて状況をお話ししたのだが、
健康センターの医師や看護師から「○○さんでしょ?
確かによく運動をされてデータも良くなっていますね。
お仲間とスポーツもされています」とすぐに答えが返ってきた。
大きな会社だが、従業員の一人一人の健康状態に目が行き届いている、と感心した。
体育館の片側に並べられているトレーニングマシンや、
各メニューにカロリーなどが表示されている食堂を見学させてもらい、
産業医の仕事の一端を垣間見させてもらった一日になった。