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食中毒から神経麻痺

食中毒と合併症

2014/10/23

食中毒の原因菌にはたくさんの種類がありますが、一番、危険なのは病原性大腸菌O-157などを原因菌とする出血性大腸炎でしょう。

牛の腸に住んでいる色々な大腸菌が腸から肝臓へ栄養を運ぶ門脈に乗って肝臓に入り込んでくることが医学的に証明されています。その肝臓を生かそれに近い状態で食べれば、大腸菌の感染を起こして当たり前、厚生労働省がレバ刺を禁止するのは当然です。

しかし、「食習慣」や「自己責任」という言葉を持ち出して厚生労働省の方針に反対される人があるのも事実です。

ただ、大きな問題はフグ毒などと違い、食べた本人以外にも二次感染として危険を及ぼす可能性が高いことです。病原性大腸菌は、ごく少数の菌でも感染を起こすため、生レバーなどを食べて感染した人の便を介して、さらに周囲の人へ二次感染を拡げやすいのです。実際、二次感染での集団発症で命にかかわる事例を保育園で何度も起こしていますから、厚生労働省の見解に従うべきです。

ところで、食中毒の合併症を御存じでしょうか。病原性大腸菌O-157を原因菌の代表とする出血性大腸炎では、細い血管に血栓を作って炎症が起き、貧血・血小板減少・腎機能障害が起きる溶血性尿毒症症候群やそれと相前後して起きる脳障害が生命にかかわる重症合併症として知られています。

その他の食中毒でも合併症があります。特に気をつけたいのはキャンピロバクター(主にCampylobacter jejuni)感染後のギラン・バレー症候群です。キャンピロバクター腸炎自体は腹痛・下痢・発熱といった一般的な症状を起こすだけですが、腸炎の1-3週後に運動神経麻痺を起してくる場合があるのです。足に力が入らないという弛緩性運動麻痺から始まって歩行困難や呼吸筋麻痺・顔面神経麻痺や複視・嚥下障害などまで病状が悪化することもあります。感覚障害も伴なうため、感覚鈍麻や神経痛・筋痛・関節痛などを訴える場合もあります。

当院でも「頭痛・指先のしびれ・足のふらつき」という多彩な訴えで受診した患者さんがあり、10日前に焼き鳥を食べて下痢を起こしていたことから、ギランバレー症候群を疑い、公的基幹病院に紹介したものの紹介先で否定され、患者さん自身が数か所の医療機関をはしごしたあげく、他の公的病院でやっと診断が確定し治療を受けられたことがありました。多彩な症状を示すため、病初期には診断がつきにくいようです。

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