2008/03/08
NHKの朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」が人気らしい。
落語家をめざすヒロインを中心に落語家の一門と家族が繰り広げる人情劇である。
2月前半は師匠の死がテーマ。
死を覚悟した師匠が、最後の高座に選んだのは「地獄八景亡者戯」。
1時間もかかる上方落語の大ネタであるが、病気の進行で高座に上がれない。
4人の弟子が交代で代役を務めるのだが、悲しみを表に出さず、見事に客を笑わせる。
師匠は弟子たちの晴れ姿を目に浮かべながら死を迎える。
あの世に行った師匠はそこで待っていた人たちの大歓迎の中、念願の「地獄八景」をかける。
このお噺は地獄に行った人たちが地獄めぐりをしたり鬼を困らせたりする地獄版エンターテインメントである。
本人、そして周囲の人々にとっても重い「死の受容」というテーマで笑わせながら泣かせてくれた。
聞きかじりだが、一番高級な笑いは、この「泣き笑い」だそうだ。
おかしいけど悲しい、悲しいけれど心地良い。
この複雑な感情の発露が心の健康に特に良いらしい。免疫力まで向上するという研究もある。
心が疲れていると思う方は、泣き笑いで心を揺さぶってくれる映画や演劇、
寄席などに行ってみるといいかもしれない。