2006/08/12
人というものは、とかく他人の話を自分の都合のよいように解釈しがちである。
講演会で、「糖尿病は太っている人に多いが、
重症になるとインスリンが極度に欠乏します。
そうすると栄養をとっても細胞に送り込むことができなくなり、
最後にはやせてきます」と説明したところ、
ある患者さんが「私は太っているから、重症ではないのですね。
あまり食事に気をつけなくても大丈夫ですね」と念を押した。
なるほど、この患者さんは重症ではない。
しかし糖尿病であれば、合併症が出ないとされる
「グリコA1c(血糖に関する指標)6.5以下」になるように食事に気をつけ、
標準体重を目指してやせるべきなのである。
管理栄養士からの詳しい食事指導の直後でも「栄養士さんは、どう言われましたか?」と聞くと、
ほとんどの方は「野菜が足りないと言われました」としか答えない。
「多いものについても言われませんでしたか?」と聞いてようやく
「ごはんとめん類は同時に食べないようにと言われた」という答えが返ってくる。
生活習慣病の指導は難しい。極め付きはアルコール依存の患者さん。
「お酒はやめてますか」と聞くと「ハイッ、もう酒はきっぱりとやめました。ビールにしています」