2010/04/21
先日、「新川地区肝炎ウイルス検診後フォロー体制検討会」に出席した。
肝炎ウイルス検診は、平成14年に基本健康診査(住民健診)に加えられた検査。
B,C型肝炎ウイルスの感染者を見つけ出し、
適切な治療や経過観察に導くという目的で始まった。
検討会は、これまでの結果を把握し、今後の体制をより良いものにするために開かれた。
厚生センターや市町の担当者、公的病院の肝疾患担当医、
肝臓専門医である開業医などが集まった。
検診後に経過観察されているC型肝炎患者約150人のうち、
これまで12人が亡くなった。その約4割に当たる5人は肝がんが原因だったことなどが報告された。
日本肝臓学会の「肝がん白書」には、肝がんはがん死亡要因の第3位を占め、
年間3万人以上が死亡していることや、
80%以上でC型肝炎ウイルスが原因となっていることが示されている。
身近な地域での統計が報告され、あらためてその現状を実感した。
新川地区の肝がん死亡者5人の死亡時平均年齢は76歳だった。
中には50歳代に検診でC型肝炎と判明しながら、
多忙を理由に放置し、がんの発見が遅れて死亡した人もいた。
医療機関を受診する、しないは、最終的にはあくまで患者さん本人の判断だ。
しかし、私たち保健指導や医療に携わる者がより適切な説明や指導をしていたら、
その患者さんの運命が変わったのではないかと悔やまれもする。
C型肝炎は、インターフェロンの注射とリバビリンという飲み薬を組み合わせれば、
半分以上の人が完治できる。
インターフェロン治療は半年から1年以上も続き、高額な費用が必要だが、
20年度から肝炎治療に対する医療費の補助が行われている。
本年度から平均的な収入の方であれば、
毎月3万円だった自己負担が1万円に引き下げられ、治療が受けやすくなった。
また、B型肝炎に対するバラクルードなどの核酸アナログ製剤も助成対象に含まれることになった。
制度を有効活用し、適切な治療を受けていただきたい。