2008/08/30
夫婦のありようはさまざまである。
医師として一番気になるパターンは、仕事一筋の立派な夫と、
その夫に尽くす満点奥さまの組み合わせ。
人は毎年、年を取るわけだが、仕事以外、
家事をほとんど何もしない夫が年を取ると、ますます何もしなくなっていく。
例えば、唯一つの仕事のゴミ出しや、楽しみでやっていた庭の水やりもおろそかになる。
すると、妻の負担が増える。
ところが妻も同じように年を取るため、負担の増加に耐え切れなくなり、
心身ともに疲弊して、うつになったり、病気の引き金になる事例が散見される。
夫婦合わせて百点であっても、年を取れば合計点が下がっていって当然である。
「丹精している植木鉢が十鉢あれば、全部大事だが、
毎年一つを誰かにあげて減らそう」というような気持ちになって、
家事や社会的な付き合いなども含め夫婦ともに負担を減らした方が良い。
違うパターンもある。夫が病気で妻が元気という組み合わせ。
「私がこんなに元気なのに、あなたはどうしてだらしないの」と外来でも尻をたたかれる。
平均寿命は女性86歳、男性78歳。そこに夫婦の実年齢の差が数年加わる。
「あなたと比べれば、肉体的には十歳は年を取っておられるのだから、
いたわってあげてください」とお話している。