2014/10/23
平成25年から「ピロリ菌による胃炎」に対する「ピロリ菌除菌」が保険適応となりました。それまでは胃潰瘍・十二指腸潰瘍・早期胃癌で内視鏡治療で切除した人などでピロリ菌陽性の場合に保険適応になっていたのですが、「ピロリ菌による胃炎」が胃癌のリスクであることが明らかになってきて「ピロリ菌除菌」が「ピロリ菌による胃炎」にまで拡大されたわけです。除菌すると胃癌の発生率が3分の1になることが分かっています。
保険適応が拡大されたことを受けて、人間ドックや検診でもピロリ菌関連の検査が取り入れられ、青山内科にもドックなどで血液や尿の検査で「ピロリ菌抗体陽性」を指摘された人や内視鏡検査で「慢性胃炎+ピロリ菌陽性」と診断を確定されて受診される人が目立つようになってきました。そのため、これまでは年平均15人ほどだった青山内科の除菌治療例数が25年は40人と倍以上になりました。
保険治療では最初に行う「一次除菌」さらに「一次除菌」が不成功になった場合に行う「二次除菌」まで使う薬剤や投与期間が決められており、2種類の抗生物質と胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害剤(PPI)を1日2回1週間服用します。(詳しくはリンク先へ)
除菌は100%成功するわけではありません。青山内科では開院以来除菌した約220名の通算での除菌成功率は一次除菌で85%、二次除菌で97%と比較的良い除菌率を保っています。
菌を退治するのは抗生物質なのですが、抗生物質の効果を大きく左右するのがpHで、胃内の酸度をより下げるためにPPIが併用されます。より効果の強いPPIを用いるのが良いようです。また、服薬する1週間はきちんと1日2回で飲み忘れなく飲むことが肝腎で、間を抜いたりすると除菌されず、さらに、その後に正しく服用しても菌が耐性を持って薬が効かなくなることがあります。
費用に関連する保険適応の話をします。1.ピロリ菌がいる 2.内視鏡でピロリ菌胃炎の所見がある という二つの条件を満たした場合に保険で治療が可能です。ですから、「血液検査でピロリ菌がいると言われた」というだけの人は内視鏡検査で胃炎があることを確認しなければ保険で治療することができません。薬には頻度は多くないものの副作用があることや漫然と除菌して胃がんなどを見逃すことがないように、あるいは胃内視鏡を行っている専門医の管理下で除菌した方がより確実に除菌が行える、などのことを考慮したルールだと思います。
それでも、「除菌したいが胃カメラはしたくない」という人が青山内科にも受診されます。 そのような方には、デメリットを説明した上で保険外診療として全額自己負担で薬をお出しすることになります。