2008/06/21
患者さんを安心させるための言葉が必ずしも、
医師の期待した効果を生んでないことが多い。
「病院で『何とも無い』と言われたけど、
腰が痛くて足がしびれるのはどうしてでしょうか」と聞かれることがある。
この場合の「何とも無い」は「全く正常」という意味ではない。
「検査ではたぶん、軽い異常はあったのでしょう。
しかし、症状は軽く日常生活に支障がないのだから、
手術以外の方法で治療して様子を見てくださいという事だと思いますよ」とお話している。
消化器についても、同じようなことがある。
「おなかが痛くて病院で検査を受けたけど、原因が分からないと言われた」という場合だ。
この「分からない」は「腹痛の原因が全く分からない」ということではなく、
「主な病気に関しては検査したが、異常は見つからなかった。
急を要する病気は無い」という意味であろう。過敏性腸症候群やガス症候群、
すなわち、腸の動きの乱れによって腸が強く収縮して痛みを感じたり、
ガスがたまって腸が膨れて痛みを感じたりする病気である事が多い。
医師の説明不足のこともあるし、説明の一部の「耳になじんだ言葉」だけが
患者さんの記憶に残って誤解につながることもある。
われわれ医師は、患者さんが理解しやすい説明を心掛けなければならない。