2007/01/06
患者さんは、中学校バスケットボール部のスーパールーキー。
試合中に具合が悪くなったと、お父さんと来院した。
ハアハアして息苦しそうだったので、過換気ではないかとのことだった。
過換気症候群とは不安が引き金になり、呼吸困難を感じ、
呼吸が多くなるとともに手足のしびれ、手指の硬直などが起こる病気である。
息のし過ぎで、血中の炭酸ガスが減り過ぎるのが主な原因である。
若い女性に多いと言われている。
紙袋などを口に当てて呼吸させると、血中の炭酸ガス濃度が上がり、楽になる。
この患者さんの場合は、風邪で朝昼と食事も取れないのに、エースとして無理して出たらしい。
試合の前に、緊張して呼吸が多くなれば、過換気かもしれない。
しかし、具合が悪くなったのが試合中であれば、
風邪と脱水によるものと考えるのが妥当であろう。
激しい運動中に呼吸が激しくなるのは、多くの酸素を取り込み、
多くの炭酸ガスを排出するための自然な反応である。
水泳のオリンピック日本代表が過換気症候群になってから、
スポーツ選手の過換気症候群がよく知られるようになった。
しかし、「ハアハアして息苦しそう」な状態が即、「過換気」ということにはならない。